プランセス タムタム(千葉)
小池 竜太
★ 美容師になったきっかけ ★
人が好きで沢山の笑顔が見たくて、 人と沢山関わる仕事がしたいと思い、美容師になろうと決めました。
’努力は必ず報われる’そう信じて欲しいと、小池さんがはなしてくださっています。
スタイリストになるまでも、なってからも大変なことが多いことや、周りと比較して落ち込んでしまうことがあっても、その努力を見てくれている人は必ずいる、ということを実感したようです。
スタイリストデビューを目指すも結果についてこない時期
美容師になってからは早くスタイリストになることを目標にして、努力していました。
僕は人よりも不器用なところがあって、思い通り進みませんでした。人の何倍も努力してもなかなかテストにも合格できない状況が続いて、なかなか出来ない自分にとても嫌気がさしていました。
一緒に入った周りの同期たちはどんどん先に進んでいて、同期達との差にも焦りを感じ、美容師という仕事が向いてないのではと思い、辞めたいなと感じたこともありました。
一番身近にいた先輩に、なかなか努力しても結果がついてこないし、辛いから、辞めたいと相談してみました。
「お前が頑張っているのは見ているし努力していることも知っている。
だからスタイリストになるまでは、とりあえずもう少し頑張れ。今まで頑張ってきたことがもったいない。」
と言われ、見てくれている人は見てくれている、ということを強く感じ、もう少し頑張ってみようと思いました。
今まで以上に努力するようになり、なかなか大変でしたが、念願のスタイリストデビューすることができました。
アシスタントの時に思っていたような華やかな世界とは少し違い、プレッシャーもあり、アシスタントとは違う責任感もありました。一生懸命接客してカットをしても、なかなか認めてもらえなかったりとか、ここが違う、お直しできたりなど、スタイリストになっても、甘い世界じゃないなと思い、また少し気持ちが落ち込んだ時期がありました。
一人のお客様との出会い
そんな時に、一人のお客様と出会うことができました。
2週間に1回カット・カラーで来店していただいていたおばあちゃんがいました。
2週間に1回も来てくれていたので、切るとこもろもないし、カラーするところも少なかったですが、それでも来てくれるお客様を一生懸命接客していました。
美意識が高い方だと思っていましたが、
「私は、前は半年に1回くらいしか美容室に行かなかったのよ。」
とおっしゃっていたので、どうして今はこんなに沢山来て頂いているのか理由を聞いてみました。
「私は小池くんに会いに来ているの。小池くんと話していると楽しいし、癒やされる。髪の毛を切ることだけじゃなくて、綺麗になるとかだけじゃなくて、そういう面でも好きだから、こんなに沢山来ているのよ。」
その言葉を聞いて、アシスタントの頃の苦労とかが一瞬で吹き飛びました。
自分はこのために、この一言のために頑張ってきたのだなと強く思いました。やっていて良かったと思いました。
ある日、そのおばあちゃんがパタリと来なくなりました。
沢山美容室があるので、お客様が来なくなってしまうというのは仕方のないことなのですが、それだけ思い入れのあるお客様だったので、ショックで裏切られたような気持ちにもなりました。
やっぱりこんなに辛くなるお仕事なのかなとも感じていました。
しかし、半年後くらいにまたそのお客様が予約してくださいました。
また来てくれたんだと嬉しかったです。
以前は、2週間に1回来てくださっていたので、綺麗な状態しか見たことがありませんでしたが、来店してくれた時は、すごい髪が伸びきっていて、白髪頭になっていました。
「どうしたんですか?」と聞くと、
「お父さんが病気で、関西に看病しに帰っていました。亡くなってしまい、やることも全部済ましたので、疲れたから小池くんに会いたいと思ったの。今は関西に引っ越したのだけど、小池くんに会いに来ました。」
と言っていただき、とても感動しました。
「分かりました。いつもどおり綺麗にしますね。」
これが気持ちをこめて綺麗にするということ。
カット、カラーもシャンプーもブローもして、いつもどおり綺麗にしてあげました。
その場でおばあちゃんがポロポロ涙を流されて、「ありがとう。心も体も綺麗になれたわ。」、僕も営業中でしたが、すごく感動してその場で泣いてしまい「こんなことしかできませんが、頑張ってください。」と伝えました。
無駄な努力なんてものはない
僕がそうゆう出会いを通じて感じたことは、’無駄な努力なんてものはない。いつか絶対に報われる。’ということです。
美容師を目指しているみなさんには、他の人が信じなくても自分は信じる強さを持って欲しいです。
50年生きられるか、明日死ぬかは分からない。
沢山の人に出会って、自分はここにいたという証を残したい。
それができる仕事が美容師だと思います。
美容師という仕事に誇りを持って仕事をしてほしいと思います。
美容師とは、技術の提供だけが仕事ではないことを実感できるお話でした。
誰でも経験できるお話ではありませんが、諦めずに続けていたから出来た経験ですね。
悩んだときは、周りに相談してみると、あなたの努力を見てくれている人がいたり、一人で考えていた時と違う答えが見えるかもしれません。