美容業界では「社会保険の加入」という大きな問題を抱えています。
美容室では、なぜ一般企業のように当たり前に社会保険へ加入できないのか?
中には企業努力をされ、加入をしている美容室もありますが、多くの美容室ではまだまだ普及していないのが現実です。
そのため、若い美容師さんは社会保険そのものを理解していない人が多くいらっしゃいます。
なぜこのような現象が起きてしまうのか?
これから詳しくお話していきます。
この記事のもくじ
社会保険とは?

20代前半の美容師さんで
「社会保険とは、一体どんなものでしょうか?」
と聞かれてすぐに答えられる方はそう多くないでしょう。
美容学生は自分が入りたい美容室の基準として
- 憧れている美容師さんがいるサロン
- 人気のサロン
- 大型店や個人店などを見て選定する
こういった条件で選ぶ方が多くいる現状があり、社会保険を知る機会が少ないです。
そこでまずは、社会保険について詳しく説明していきます!
社会保険とは大きく4つに分類されます。
「健康保険」「厚生年金」「雇用保険」「労働保険」
なんとなく聞き覚えがあるとは思います。
さらに内訳を説明します。
健康保険
これは知っている人も多いのではないでしょうか?
風邪を引いた時などに病院に行き健康保険証を提出すると、医療費の負担が変わり、保険で7割負担してくれ、通常は個人負担つまり支払う金額が、医療費全体の3割となります。
厚生年金
まず、年金を知る上で基礎となる、国民年金について簡単にご説明します。
国民年金とは、日本国内に居住している20歳以上60歳未満の方は、国民年金の被保険者となります。
20歳になれば、一部を除き、国民年金の加入手続きをすることが義務付けられています。
次に厚生年金とは、国民年金に上乗せして支給されます。
したがって一般的には、厚生年金に加入していると、国民年金にも自動的に加入していることになります。
※イメージは下図のような2段階式になります。

個人で国民年金を払っているよりも、厚生年金に加入することで、将来もらえる年金額が国民年金のみよりも多くなります!
雇用保険
雇用保険とは、働いている人の生活や雇用の安定のために、就職を支援する目的で教育訓練や失業等給付などを支給したり。
失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進等をはかる ための二事業を行っています。
主に下記のような手当を支給しております。
会社を辞めた時などに受け取れる失業保険
子どもが1歳になるまで受け取れる育児休業給付金
病気やケガをした時に受け取れる傷病手当金(しょうびょうてあてきん)
労災保険(労働者災害補償保険)
通勤中・勤務中の事故やケガの場合(美容室内で自分の)、病院代などを給付できる保険になります。
ただし、勤務経路外での事故やケガの場合は給付されませんので注意しましょう!
以上が、社会保険の簡単な説明となります。
どれも働いて暮らしていくためには欠かせないものだと思います。
それでは次に、社会保険に加入しなければいけない会社、しなくてもいい会社についてお話します。
社会保険の加入義務とは?
美容室によって、社会保険に加入しているサロンとしていないサロンは様々です。
どんな違いによって加入の有無が別れるのかと言うと、それは会社の企業形態によって分けれれています。
では、企業形態ごとにお話していきます。
個人事業主
個人事業主とは、株式会社などの法人設立を行わずに、事業を行っている個人の事をいいます。多くの1店舗のみの美容室は個人事業主で経営されています。
美容室の場合は、従業員が何名いても社会保険の『雇用保険』『労災保険』のみが、加入義務となります。
一般企業ですと、従業員が5名以上の場合
- 『健康保険』
- 『厚生年金』
- 『雇用保険』
- 『労災保険』
上記が加入義務となりますが
理容業・美容業は特定業種に指定されているため『健康保険』『厚生年金』の加入義務がありません。
法人(株式会社・有限会社など)
法人美容室は原則として、全従業員(役員全員・スタッフ全員)が『健康保険』『厚生年金』『雇用保険』『労災保険』の加入義務があります。
ただし勤務時間が、約週30時間以下・月約120時間以下=正社員の3/4時間未満であれば社会保険加入義務はありません。
また、「役員だけ・スタイリストだけ」社会保険に入っているなど”一部加入”の美容室などは悪質とみなされ、全従業員の保険料を過去2年分さかのぼり、徴収される事があります。
その場合一括で払えない時は更に年利14.6%の利率が掛けられ、美容室運営もままならなくなってしまいます・・・。
社会保険の負担額とは?
実際に美容室経営にとって、社会保険とはどれだけの負担がかかるのか?
まず、社会保険の負担は、会社側と従業員側両方にあります。
負担額は同じ比率で「給与×約15〜16%」になります。
例えば月給20万円のスタッフがいたとして、
会社負担額は”20万×15%=30,000円”となり、毎月3万円かかって来てしまいます。
これが全スタッフ掛かってくるので、生産性の低い美容室は苦しいですよね。
その結果社会保険に加入しなくてもいい個人事業主の美容室が増え、多くの美容師さんは社会保険に加入することが難しいのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
美容室の社会保険の仕組みについてわかって頂けたら嬉しいです。
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